2024-10-22
日本では空き家の増加が社会問題になっていることから、政府はさまざまな施策をおこなっています。
なかでも近年注目を集めているのは、空き家をアートに活用する方法です。
この記事では、日本における空き家の現状とアート展示の試みについて解説します。
明石市で空き家を所有しており、活用方法にお困りの方はぜひ参考にご覧ください。
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冒頭でも触れたように、近年の日本では空き家が増加の一途を辿り、深刻な社会問題に発展しています。
アート展示について知る前に、まずは空き家の現状を把握しておきましょう。
総務省の住宅・土地統計調査によると、空き家の総数は20年で約1.5倍、一般の住宅は1.9倍に増加しています。
空き家となっている建物の約7割が木造の一戸建て、大半が現行の耐震基準を満たさない「旧耐震基準」のものです。
放置された空き家は、倒壊や破損、放火や不法投棄といった犯罪に利用されるなど、さまざまなリスクが生じます。
空き家の管理不足が原因で近隣住民に被害が及ぶと、原則として所有者が責任を負わなければなりません。
こうした空き家の問題を解消するため、各自治体ではさまざまな取り組みを実施しています。
そのなかでも、定住・移住の促進や地域創生として、近年注目されているのが「空き家アート」です。
空き家アートとは、アーティストの作品展示やイベント開催のために空き家を活用することです。
また、リノベーションを施して空き家そのものをアート作品にしたり、地域全体でイベントを開催したりするケースもあります。
その代表例として挙げられるのが、岡山県・香川県に面する瀬戸内海の島々を舞台とした「瀬戸内国際芸術祭」です。
空き家を活用した作品制作だけでなく、廃材や漂流物などを素材とした作品も数多く制作され、来場者は100万人を超えます。
空き家アートを活用するメリットは、なんといっても地域に貢献できることでしょう。
空き家に作品を展示したりイベントを開催したりすることで、他県からも見学者が訪れ、地域活性化に繋がります。
地域の活性化によって移住希望者が増えれば、これまで利用されていなかった空き家を有効活用できるかもしれません。
また、イベントやプロジェクトが定期的に行われることにより、不法投棄や放火といった犯罪リスクも軽減できます。
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空き家アートの概要がわかったところで、具体的にどのようなことをおこなっているのでしょうか。
ここでは、実際に空き家を活用してアートイベントをおこなっている事例をご紹介します。
家プロジェクトとは、瀬戸内海に浮かぶ香川県の直島の本村地区でおこなわれているアートプロジェクトです。
直島特有の家屋や寺社などを改修し、人が住んでいた頃の時間と記憶を織り込みながら、空間そのものを作品化しています。
現在も生活が営まれている本村を散策しながら鑑賞するため、場所の持つ時間の重なりや生活する方々の営みを感じられる点が魅力です。
はじめは「角屋」のみから始まったこのプロジェクトですが、現在は「南寺」や「きんざ」など、角屋を含む全7軒が公開されています。
「大地の芸術祭」は、越後妻有地域(新潟県十日町市・津南町)で開催される大規模な芸術祭です。
アートを媒介に地域の価値を発信しており、企画展やイベント、ワークショップなどさまざまなプログラムが実施されます。
大自然と一体化した野外作品や、空き家や廃校、トンネルを丸ごと活用した作品など、見どころが尽きません。
芸術祭自体は3年に1度の開催ですが、拠点施設は通年公開されており、アート作品や旧小学校での食事や宿泊も楽しめます。
ゆっくりと時間をかけて滞在することで五感が刺激され、里山の魅力や自然の偉大さ、人の熱意をより深く感じられるでしょう。
「下町芸術祭」は、兵庫県神戸市の長田区・兵庫区を中心とした下町エリアで開催されるプロジェクトです。
阪神・淡路大震災から20年後の2015年に始動し、2年に1度の間隔で開催されています。
期間中は、空き家や古民家を活用した現代アート作品、アートに関連したイベント、パフォーマンスなどが楽しめます。
街のいたるところにアートが溢れ出す下町情緒あふれる空間は、どこか懐かしく忘れられないひと時となるでしょう。
このように、空き家を活用したアートイベントは、地域全体を巻き込むプロジェクトとして各地で開催されています。
社会問題となっている空き家の増加を食い止めるだけでなく、地域活性化のきっかけとして、今後も各地に広がっていくでしょう。
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空き家の種類とは?増加率や放置するリスクを解説
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日本では空き家が年々増加していますが、海外の状況が気になるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
海外は中古物件に対する消費者のハードルが低いため、日本に比べると空き家率は高くありません。
しかし過去には、深刻な空き家問題に頭を抱えた国もあり、とある施策によって空き家再生に成功した事例もあります。
ここからは、空き家問題の解消に成功した国、ドイツがおこなった政策について解説します。
ドイツのザクセン州にあるライプツィヒは産業都市として発展し、ベルリンに次いで人口が多い街でした。
しかし、第二次世界大戦後に産業が衰退していったことや、1989年にベルリンの壁が崩壊したことにより、人口が大幅に減少します。
それによって不動産需要が低下し、いくつかの地区では空き家率が50%超え、市全体でも20%弱にまで及んでいました。
当時のライプツィヒの不動産市場は完全に破綻しており、空き家をリノベーションして活用しても投資回収できない状態だったそうです。
そこでライプツィヒは、空き家を活用するプロジェクトを試み、それが大きな成功を納めることとなりました。
ライプツィヒには、築100年を超える歴史的価値のある建物が多く、それが町のアイデンティティでもありました。
その建物が空き家として長期間放置され、どんどん街の景観が変わってきている状況に、多くの市民が危機感を覚えたでしょう。
これではいけない、そう思った市民たちは、不動産市場から見放された建物を救うべく「ハウスハルテン」という団体を立ち上げます。
ハウスハルテンは、空き家を活用しながら守っていくことをコンセプトに、さまざまな取り組みをおこないました。
たとえば代表プログラムの1つに、家賃なしで空間を提供し、建物を守りながら居住者の獲得を目指す「家守の家」があります。
5~10年間を期限として空き家の所有者に物件を提供してもらい、そこを利用したい方を募集するという暫定利用のシステムです。
所有者は利用者に物件を維持管理してもらうことができ、利用者は期間中家賃なしで空間を利用することができます。
所有者と使用者の双方にメリットのあるプログラムとして評判を呼んだこのプロジェクトは大成功を果たし、地域の活性化に繋がりました。
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空き家火災の主な出火原因とは?持ち主が負う責任も解説
日本では空き家の増加が深刻な社会問題となっており、その問題を解決するために空き家アートを取り入れる自治体が増えています。
空き家アートとは、アーティストの作品展示やイベント開催のために空き家を活用したり、空き家自体を作品にしたりすることです。
空き家アートの活用によって人口増加に転じている街もあるので、一度参考として現地を覗いてみてはいかがでしょうか。
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