2024-09-24
兄弟姉妹皆んなで実家を相続したものの、使い道がなくお困りの方もいらっしゃるでしょう。
利用する予定のない空き家は所有していてもお金がかかるだけなので、早めに売却するのがおすすめです。
また、相続開始日から3年を経過するまでに売却すれば、相続空家の特例を利用して税負担を軽減できる可能性があります。
そこで今回は、共有名義の不動産にも適用できる「相続空家の特例」について解説します。
明石市で共有名義の不動産を所有している方や、今後相続するご予定のある方はぜひ参考になさってください。
\お気軽にご相談ください!/
相続空家の特例とは、相続した空き家の売却益(譲渡所得)から最高3,000万円まで控除できるという制度です。
正式名称を「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」と言い、平成28年4月1日から適用が開始されました。
はじめに、相続空家の特例が施行された理由と適用するための要件から確認しておきましょう。
相続空家の特例は、空き家の数を減らすために施行された制度です。
日本では空き家が年々増加しており、2050年には1,548万戸が空き家になるという試算もあります。
周辺の生活環境に悪影響を及ぼす恐れのある空き家の約75%が、旧耐震基準のもとで建築されたものです。
こうした空き家は、相続を機に発生するケースがほとんどです。
空き家をなくすには、相続後にすぐ売却または有効活用する仕組みが必要と政府は考えました。
そこで施行されたのが「相続空家の特例」であり、適用するにはさまざまな要件を満たす必要があります。
相続空家の特例は、相続する方だけでなく相続する家にも要件が定められています。
特例の適用対象者
相続空家の特例を適用できるのは、被相続人(亡くなった方)の家屋およびその敷地を、相続または遺贈により取得した方です。
特例の適用対象となる空き家・敷地
特例の対象となる空き家は、以下の全項目に該当している必要があります。
この特例は空き家を減らすことを目的にしているので、相続開始直前まで被相続人が1人で居住していた家屋であることが条件です。
ただし、平成31年4月1日以後に相続を受けた場合は、被相続人が老人ホームに入居していた場合も適用できます。
また、昭和56年5月31日以前に建築された建物とその敷地でなければ、この特例は利用できません。
建物を壊して敷地のみを譲渡するか、耐震基準を満たすように耐震リフォームをしてから譲渡する必要があります。
なお、令和6年1月1日以後の譲渡においては、買主が耐震改修または建物の解体をする場合も適用することが可能です。
この場合は、買主が「譲渡の日の属する年の翌年2月15日まで」に工事をおこなわなければなりません。
その他の適用要件
上記のほかにも、以下のような要件が定められています。
建物及び土地の合計譲渡価額が1億円を超える場合、特例は利用できないためご注意ください。
共有物件を売却した場合は、共有者の売却代金を合算して判定する必要があります。
▼この記事も読まれています
相続登記にかかる費用は経費に計上できる?経費にする際の注意点も解説!
\お気軽にご相談ください!/
冒頭でも述べたように、相続空家の特例は共有名義の不動産にも適用できます。
ただし、被相続人と相続人の共有と、相続人どうしの共有では適用範囲が異なる点にご注意ください。
相続開始まで被相続人と相続人で共有していた空き家は、「被相続人の持分であった部分」のみ特例を適用できます。
たとえば、母親と長男が2分の1ずつ共有している場合は、母親の持分である2分の1の部分だけしか特例を適用できません。
相続人どうしで共有していた空き家を売却する場合は、各相続人の持分に特例を適用することが可能です。
たとえば、2人の相続人が共有名義で空き家を相続し、のちに売却したとしましょう。
この場合は、各相続人が3,000万円まで控除できるので、合計すると6,000万円まで特例による控除を受けられます。
不動産の共有はトラブルの元と言われ、一般的にはしないほうが良いとされています。
ただし、すぐに空き家を売却する予定で多額の売却益が見込まれる場合は、共有名義で相続して複数人で特例を適用するのも手です。
なお、令和6年1月1日以降に譲渡し、空き家の相続人が3人以上の場合は、各相続人の控除額は「2,000万円まで」となります。
▼この記事も読まれています
相続放棄の手続きを自分でおこなう際の流れや必要書類とは?注意点も解説
\お気軽にご相談ください!/
不動産相続時には、税負担を軽減する特例が複数用意されています。
これらを併用すれば、さらに大きな節税に繋がるため、漏れずに適用することが大切です。
ここでは、相続空家の特例と併用可能な特例として代表的な「小規模宅地の特例」について解説します。
小規模宅地等の特例とは、相続する土地の評価額を最高8割まで減額できる制度です。
相続時に小規模宅地等の特例を適用した場合も、要件を満たせば相続空家の特例を適用できます。
不動産を相続したからといって、全員が必ず相続空家の特例と小規模宅地等の特例を併用できるわけではありません。
小規模宅地等の特例を適用できるのは、以下のいずれかの場合に限られます。
小規模宅地等の特例を適用するには、原則として相続人が被相続人と同居している必要があります。
ただし相続人に持ち家がない場合は、生前に同居していなくても特例(家なき子特例)で適用が認められることがあります。
家なき子にあたる方が自宅を相続した場合は、すぐに売却しないようご注意ください。
条件のなかに「相続税の申告期限まで保有していること」が含まれており、その前に売却すると特例を適用できないためです。
相続税の申告期限は「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内」なので、それ以降に売却するようにしましょう。
また、配偶者が小規模宅地等の特例と相続空家の特例を併用したい場合も、気をつけなければならないポイントがあります。
先述したように、相続空家の特例は「被相続人が一人で住んでいたこと」が適用要件となっています。
したがって、生前に被相続人と配偶者が同居していた場合は、相続空家の特例を利用することができません。
特例を併用できるか不安な場合やご自身で判断するのが難しい場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
▼この記事も読まれています
未登記の不動産を相続する方法!未登記になる理由と放置するリスクを解説
相続空家の特例とは、相続した空き家の譲渡所得から最高3,000万円まで控除できるという制度です。
深刻化する空き家問題を解消するために制定された制度で、適用するには一定の条件を満たす必要があります。
また、小規模宅地等の特例と併用できる場合もあるため、適用要件は事前にチェックしておくことをおすすめします。
ご自身で判断するのが難しい場合は、相続と不動産に関する知識が豊富な税理士に相談するのも良いでしょう。
明石市での不動産売却なら明石不動産売却センターへ。
独自の査定方法や各メディアでの広告展開が強みです。
お客様に寄り添ったサポートをさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。
空き家の放置はリスクが高く「売却を早くするべきだ」と言われることが多いです。 ではどうやって空き家を売却したら良いのでしょうか? 現在空き家をお持ちの方へ向けて、今回は空き家の放置にどん...
2021-11-02
「そろそろ終活で、不動産の相続について考えたい」「相続した場合、空き家になってしまったらどうやって管理するんだろう?」 このようにお悩みではありませんか? 空き家は年々増加傾向にあり...
2022-01-14
空き家を売りたいと考えた際に、建物を残したまま売るのか更地で売るのかお悩みの方がいらっしゃるかと思います。 迷っているあいだにも、税金やメンテナンスの費用、管理の手間などがかかってき...
2022-03-18
目次 ▼ 空き家火災の原因▼ 空き家火災が起きないための対策法▼ 空き家火災による所有者への責任▼ まとめ 相続などにより空き家を所有しているという方は少なくはありません。 とくに...
2022-05-02
この記事のハイライト ●本来の相続人に代わって被相続人の財産を相続することを代襲相続と言う●代襲相続が起こるケースは死亡のほかにも相続欠格や相続廃除されているケースがある●代襲相続人の範囲は本来の相続人...
2024-10-01
この記事のハイライト ●不動産は現金よりも相続税を抑えられる可能性がある●不動産を相続すると相続時のトラブルや管理の負担などが懸念される●現金の相続にもメリットがあるので相続税額だけではなく総合的に考え...
2024-09-10
この記事のハイライト ●養子縁組には普通養子縁組と特別養子縁組がある●養子の人数も相続税の基礎控除額に影響する●養子縁組をする際は相続人にも説明しておくことが大切養子縁組をして養子に財産を残したいとお考...
2024-08-13
この記事のハイライト ●資産の組み換えとは所有する資産を売却するなどの方法で別の資産に交換すること●資産の組み換えによって相続税の節税や相続人の負担を軽減することができるため相続対策になる●資産の組み換...
2024-07-09
この記事のハイライト ●相続空家の特例とは相続した空き家の売却益から最高3,000万円まで控除できるという制度●相続空家の特例は共有名義の不動産にも適用できるが誰と共有しているかによって適用範囲が異なる●...
2024-09-24
この記事のハイライト ●空き家のご近所トラブルの事例は庭の草木が伸びる・ゴミの不法投棄・犯罪の温床になるなどがある●ご近所トラブルを回避するには管理会社や防犯会社などを利用して空き家を適切に管理すること●...
2024-08-09
この記事のハイライト ●相場から見る空き家の売却タイミングは不動産価格市場が右肩下がりにあるとき●築年数から見た場合は建物の資産価値が年々減少していくため築15年以内の売却がおすすめ●住宅ローン金利の観...
2024-06-18
この記事のハイライト ●空き家の築年数が古かったりリフォーム費用が高額になったりする場合は更地にして処分するケースがある●建物を残したまま売る(現況渡し)場合はコストをかけずに売ることができるが契約不適...
2024-03-19
この記事のハイライト ●計算ミスや評価額の間違いなどで相続税を納めすぎてしまうことがある●相続税還付の手続きは相続税の申告期限から5年以内におこなう●還付された事例に広大地の評価額減額や不整形地の評価額...
2024-08-27
この記事のハイライト ●不動産取得税とは土地や建物といった不動産の所有権を取得する際に課税される税金で都道府県に納める●死因贈与の場合や相続時精算課税制度を利用する場合は課税対象となる●建物や住宅用の土...
2024-03-26
この記事のハイライト ●相続税の物納とは、相続税を現金ではなく相続財産で支払うことをいう●物納できる財産には優先順位が定められており、好きなように選ぶことはできない●物納申請は条件が厳しく、また事前準備...
2023-11-14
この記事のハイライト ●遺産分割協議がまとまらなかったり現金が少なかったりすると相続税が払えない状況になる●相続税が払えないと無申告加算税や延滞税がかかったりするほか最終的には財産を差し押さえられてしま...
2023-11-07
この記事のハイライト ●契約不適合責任は不具合が契約書にすべて書いてあれば責任問題の回避ができる●契約不適合責任があれば、買主は4つの権利を売主へ請求できる●インスペクションでの不具合や心理的瑕疵の告知...
2022-10-25
この記事のハイライト ●インスペクションとは、専門資格を持つ検査員が目視や計測で建物状況を調査すること●不動産売却前にインスペクションしておくと売主・買主双方にメリットがある●インスペクション費用相場は...
2022-10-04