2024-06-26
相続する際は、単純承認と限定承認、相続放棄のいずれかを選択することになります。
本記事では、単純承認とはなにか、単純承認の手続き方法や単純承認と見なされるケースについて解説します。
明石市で不動産を相続する予定がある方は、ぜひ参考にご覧ください。
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単純承認とは、被相続人(亡くなった方)の全ての財産を相続することを指します。
財産には、現金や不動産などのプラスの財産だけでなく、未払金や借金などの債務も含まれます。
たとえば、親が亡くなった場合を考えてみましょう。
親が3,000万円の現金と5,000万円の不動産、そして6,000万円の借金を残していたとします。
この場合、単純承認を選択すると、3,000万円の現金と5,000万円の不動産を取得すると同時に6,000万円の借金も引き継ぐことになります。
このように、単純承認を選ぶと被相続人のプラスの財産もマイナスの財産もすべて受け継ぐことになるため、慎重な判断が必要です。
財産を相続する方法には、「単純承認」のほかに「限定承認」と「相続放棄」の2つの方法があります。
限定承認とは、被相続人のプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐことです。
たとえば、被相続人が3,000万円の財産と4,000万円の借金を残していた場合、限定承認を選ぶと、相続人が引き継ぐ借金は3,000万円までです。
残りの1,000万円の借金については、債権者が相続人に対して弁済を求めることはできません。
相続人は、引き継いだ財産の範囲内で借金の弁済をすることになります。
相続放棄とは、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も一切引き継がない方法です。
借金を引き継がなくて済む代わりに、現金や不動産などのプラスの財産も取得できません。
被相続人の債務が財産を上回っていることが明確な場合には、相続放棄を選択すると、将来的な負担を避けることができます。
単純承認の大きなメリットは、手続きが不要な点です。
限定承認や相続放棄を選ぶ場合には、期限内に所定の手続きをおこなう必要がありますが、単純承認ではそのような手続きは不要です。
一方で、単純承認にはデメリットもあります。
それは、被相続人の全ての財産を引き継ぐことです。
マイナスの財産がプラスの財産を上回る場合、相続人がその債務を弁済しなければならず、大きな負担となるでしょう。
したがって、被相続人の財産の詳細が明らかでない段階で単純承認を選ぶのはおすすめできません。
また、相続開始から3か月経過してしまうと、相続放棄や限定承認を選択できなくなり、必然的に単純承認をすることになります。
単純承認を選ぶべきかどうか迷う場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
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では、不動産を相続する場合、具体的にどのような手順を踏めば単純承認を選択できるのでしょうか。
単純承認を選択する際の流れと、単純承認を選択すべきケースについて解説します。
不動産の相続においても、単純承認を選択する場合、手続きは不要です。
相続放棄や限定承認の申請をしない限り、単純承認と見なされます。
相続放棄を選択する場合は「相続放棄申述書」、限定承認を選択する場合は「限定承認申述書」と「財産目録」を家庭裁判所に提出する必要があります。
いずれも「相続の開始を知った日から3か月以内」に手続きが必要です。
つまり、相続開始から3か月以内(熟慮期間)に、どの相続方法を選択するかを決める必要があります。
この3か月の熟慮期間は、家庭裁判所に申請することで延長が可能です。
原則、申請は熟慮期間内におこなわなければならず、すべての場合で延長が認められるわけではありません。
延長が可能かどうかは家庭裁判所の審査によって決まり、認められた場合は1~3か月ほど延長されることが多いです。
単純承認、限定承認、相続放棄という3つの相続方法のなかで、単純承認はもっとも一般的な方法です。
相続財産が被相続人の債務を上回ることが明確な場合には、単純承認を選び、相続人間で遺産を分け合うことをおすすめします。
一方で、被相続人の債務が相続財産よりも多い場合は、相続放棄や限定承認を選択したほうが良いでしょう。
ただし、限定承認の手続きは複雑で時間がかかるうえ、書類の取得費用なども発生します。
どの相続方法を選択すべきか判断に迷う場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。
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相続時に単純承認と見なされるケースを「法定単純承認」と言います。
法定単純承認とは、相続人が意図的に単純承認を選択していなくても、その行為から客観的に単純承認を選択したと見なされることを指します。
単純承認と見なされると、相続開始の3か月以内であっても他の相続方法を選択することができなくなるため、注意が必要です。
単純承認と見なされる代表的なケースについて解説します。
相続財産の全部または一部を処分することは、法定単純承認と見なされる行為の1つです。
処分にあたる行為とは、相続財産の現状や性質の変更、法律上の変動を生じさせることです。
たとえば、相続財産を売却したり被相続人の預貯金を解約したりなどが挙げられます。
上記のような処分行為をおこなうと、その相続人には財産を引き継ぐ意思があると見なされるからです。
ただし、相続人の行為が財産を守るための「保存行為」であると判断される場合は別です。
たとえば、相続財産の管理や修繕などが保存行為にあたります。
ただし、処分行為なのか保存行為なのかの区別は難しいため、個別の状況や事情なども考慮して判断されます。
葬儀費用の捻出など、相続財産に手をつける必要がある場合は、事前に弁護士などの専門家に相談しましょう。
相続財産である不動産の名義を変更すると、単純承認と見なされます。
相続による所有権の移転登記(名義変更)をおこなうことは、その不動産に対する権利を行使したと判断されるためです。
実際にその不動産に居住しているかどうかにかかわらず、外形上の変化がなかった場合でも同様です。
相続開始を知った日から3か月以内に何もしなければ、単純承認と見なされます。
相続時には多くの手続きが発生するため、3か月という期間はあっという間です。
損をしないためにも、相続開始を知った時点で早めに行動し、専門家に相談したうえで判断しましょう。
相続人が相続財産を故意に隠匿したり消費したりした場合、法定単純承認と見なされます。
相続放棄や限定承認は、被相続人の債務から相続人を守るための制度ですが、財産の隠匿や消費は信頼を裏切る行為のため、保護の対象外です。
たとえ相続放棄や限定承認を選択した後であっても、相続財産を隠匿や消費した場合には法定単純承認とされます。
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単純承認とは、被相続人の財産も債務もすべてを相続することを指します。
単純承認を選択するのにとくに手続きは不要ですが、迷う場合は3か月以内に判断する必要があります。
相続財産を処分したり、不動産の名義変更、相続財産を故意に隠したり消費したりした場合は、相続人が意図しなくても単純承認と見なされるため、注意が必要です。
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