2023-11-14
相続税を現金で支払うのが難しい場合に、相続財産そのものを税務署に納める「物納」という方法があります。
このような救済措置があると安心ですが、すべての財産が物納に対応しているわけではありません。
そこで今回は、物納を利用するための条件やメリット・デメリットなどを解説します。
明石市で土地を相続するご予定の方は、ぜひ最後までご覧ください。
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被相続人(亡くなった方)から遺産を相続し、一定額を超えた場合には相続税が課されます。
相続税は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に、現金で一括納付しなければなりません。
しかし期限内に現金を準備できず、相続税の支払いが困難になるケースがあります。
たとえば、相続財産のほとんどが不動産で現金を相続しておらず、自己資金を納税にあてなければならない場合などです。
価値の高い不動産は納税額が数百万円になることもあり、このような大金をすぐに用意できる方は少ないでしょう。
相続税を分割払いにする延納という制度もありますが、延納しても納付が困難な場合は、相続税を相続財産で支払うことが可能です。
これを物納といい、物納をするには以下の要件を満たす必要があります。
物納は、延納による金銭での納付が難しい場合にしか利用できません。
相続人に十分な自己資金があり、それらで納付できる場合は物納制度を利用できないためご注意ください。
また物納には、次のように限度額が定められています。
物納の限度額=相続税額-すぐに支払える金額-(年間の資金余剰額×延納期間)-臨時的な資力
臨時的な資力とは、おおむね1年以内に発生が見込まれる臨時的な収入から臨時的な支出を控除した額を指します。
たとえば、知人に貸していたお金が戻ってくる、事業で新たな機械や車を購入する予定があるなどです。
物納を利用する場合、物納申請書と物納手続関係書類を申告期限までに提出しなければなりません。
申告期限は「相続の開始を知った日の翌日から10か月以内」で、書類は税務署に提出します。
10か月以内に手続きできない場合は、延長の届け出を提出することで申告期間を最長1年間延長することが可能です。
物納できる財産は「相続税の対象となる財産」に限られ、相続時精算課税制度を利用した贈与により取得した財産は含まれません。
相続時精算課税制度とは、2,500万円までは贈与税が非課税となり、2,500万円を超えた部分に贈与税率20%が適用される制度です。
また物納する財産には優先順位が定められているため、「不要なものから物納しよう」などと自由に選ぶことはできません。
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先述したように、物納できる財産には決まりがあり、物納したくてもできないものもあります。
ここからは、物納できる財産の種類と順位について解説します。
物納できる財産が複数ある場合は、以下の順位にしたがって物納にあてなければなりません。
第1順位の財産がなければ第2順位、第2順位の財産がなければ第3順位という流れで物納するのが原則です。
ただし物納は申請すれば必ず許可されるわけではなく、「管理処分不適格財産」となった場合は物納申請ができません。
管理処分不適格財産とは、財務局などによって管理や処分に向かないと判断された財産のことです。
たとえば、抵当権が設定されている不動産や境界が明らかでない土地、権利の帰属について揉めている不動産などが該当します。
ほかの財産と比較したときに、活用したり売却したりするのが難しい財産を「物納劣後財産」と呼びます。
たとえば、地上権や地役権などが設定されている土地や、建築基準法の規定である道路に2m以上接していない土地などです。
物納劣後財産は、物納にあてる適当な財産がないと認められる場合に限り申請が可能です。
たとえば、地上権が設定されている土地と一般的な土地があれば、後者を優先して物納しなければなりません。
このように物納には、同じ順位であっても優先的に物納できないもの、そもそも物納できないものなどがあるため注意が必要です。
ご自身で判断するのはなかなか難しいため、信頼できる税理士に相談しながら手続きを進めていくことをおすすめします。
物納した財産がいくら分の納税としてしてもらえるかは、物納財産の収納価格によって決まります。
一般的には、相続税の課税価格に算入した価額となりますが、物納ならではのルールがあるため注意が必要です。
実際に収納されるまでに財産の状況が著しく変化した場合は、税務署長が現状に応じて収納価額を決定することとなっています。
つまり物納では、相続時ではなく税務署に納めるときの価値が重視されると考えておきましょう。
また、小規模宅地等の特例を適用する際は、特例を適用したあとの金額が収納価額となります。
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相続税が支払えない場合に、物納するか売却するかで迷われる方も多いでしょう。
ここからは、物納する場合と不動産売却する場合のメリット・デメリットを解説します。
物納するメリットは、仲介手数料や譲渡所得税が課されないことです。
不動産会社を介して土地を売却すると、成功報酬として仲介手数料を支払う必要があります。
仲介手数料は法律で上限が定められていますが、不動産の売却価格によっては100万円を超えることもあります。
また、不動産売却により利益が生じた場合は、譲渡所得税も納めなければなりません。
物納であれば、こうした費用がかからないというメリットがあります。
一方でデメリットとしては、条件が厳しい点と事前準備に時間がかかる点が挙げられます。
物納を申請するためには、相続税の現金納付が困難な状態であることを証明しなければなりません。
そのためにはさまざまな書類を準備しなければならず、申請までに多くの時間を要する可能性があります。
不動産売却のメリットは、物納よりも多くの資金が手に入る可能性が高いことです。
物納では、土地の売却価格ではなく相続税評価額が収納時の価格となります。
不動産の売却価額が相続税評価額よりも高ければ、売却したほうが多くの資金を得られるでしょう。
ただし、売却時には仲介手数料や譲渡所得税が課されるため、それらを差し引いたあとの金額を比較して決めることが大切です。
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物納は、相続税を延納してもなお現金納付が厳しい場合にはじめて検討できる制度です。
物納であれば、手元に現金がなくても相続税を支払うことが可能ですが、条件が厳しく事前準備にも多くの時間を要します。
納税資金の確保に困りそうな場合は、不動産売却も視野に入れながら、早めに税理士に相談するようにしましょう。
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