不動産売却における減価償却とは?計算方法や注意点を解説

2023-10-10

売却

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この記事のハイライト
●減価償却費とは日々の使用によって減った資産の価値を数字に表したもの
●不動産売却では定額法を用いて減価償却費を計算する
●取得費がわからない場合は損する可能性があることや譲渡損失が生じてもほかの所得と損益通算できないことなどが注意点

不動産売却後、一般的には確定申告をおこないます。
確定申告とは、1年間の利益から納めるべき税額を確定し、税務署に申告する手続きのことです。
減価償却費は、この手続きの際に使用します。
今回は減価償却費とはなにか、計算方法や注意点について解説します。
明石市で不動産売却をお考えの方は、ぜひ参考になさってください。

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不動産売却における減価償却費とは?

不動産売却における減価償却費とは?

まずは、不動産売却における減価償却費とはなにかを解説します。

減価償却費とは?

減価償却費とは、日々の使用によって減った資産の価値を、数字に表したものです。
減価償却とは、経年劣化で価値が減る資産を取得した際に用いる、会計処理法を指します。
ここで言う資産とは取得時の価格が10万円以上のもので、不動産はもちろん車やパソコンなども対象です。
たとえば、自動車やパソコンは使用するたびに価値が減少するため、確定申告時は減価償却費を計上する必要があります。

減価償却の目的とは?

減価償却の目的は、事業の経営を適正にとらえ、事業者が安定的に納税することです。
事業用に購入した自動車やパソコンなどは、取得費として計上します。
しかし、1度に計上するのではなく、毎年一定の金額を減価償却費として、少しずつ計上するのが原則です。
資産の購入費用を何年かに渡って計上できるため、その分利益を小さくでき、税金対策につながります。

不動産売却における減価償却の狙いは?

不動産売却において、減価償却は事業の経営を適正にとらえることとは、意味合いが少し異なります。
土地や建物を売って利益(譲渡所得)が生じると、その利益に対して譲渡所得税という税金がかかります。
譲渡所得税を計算する際、不動産の購入費用や売却にかかった費用を経費として用いることが可能です。
経費が多ければ、その分譲渡所得を小さくでき、税金対策につながります。
しかし、建物は経年劣化により価値が減少しているため、購入時の価格をそのまま取得費として計上することができません。
そこで減価償却費を計上し、経費を正しく計算します。

いつ誰が計算するのか?

減価償却費の計算は、確定申告の時期にご自身で計算する必要があります。
確定申告は、売却した翌年の2月16日~3月15日におこなうのが一般的です。
不動産売却から確定申告までの期間が空く場合は、忘れないよう注意してください。

対象となるのは建物のみ

減価償却費の計算が必要なのは、経年劣化によって価値が減る「建物部分」のみです。
土地は経年劣化するものではないという考えがあるため、対象外となります。
売買契約書に、土地と建物をセットにした金額が記載されている場合、それぞれの価格を調べる必要があります。

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不動産売却における減価償却費の計算方法

不動産売却における減価償却費の計算方法

続いて、不動産売却における減価償却費の計算方法と、確定申告が必要かを確認する方法について解説します。
減価償却費の計算式は、下記のとおりです。
減価償却費=建物の取得価額×0.9×償却率×経過年数
計算式の「0.9」は残存価額で法定耐用年数を過ぎても建物に残る価値のことで、かけ合わせられている数字です。
減価償却費の計算には定額法と定率法がありますが、建物には基本的に定額法を用います。
なお、2016年4月以降に取得した建物については、定額法しか認められていません。
減価償却費の計算は少し複雑なので、次の5つのステップを踏んで進めます。

ステップ1:建物の購入費用を確認する

建物の購入費用は、売買契約書に記載されている金額をもとに算出します。
土地と建物の金額がそれぞれ記載されている場合、建物の金額をそのまま計算式に用いることが可能です。
土地と建物をセットにした金額が記載されている場合は、それぞれの価格を調べなくてはなりません。
建物の価格の調べ方は、下記のとおりです。

  • 消費税額で計算する:売買契約書に記載されている消費税÷消費税率+消費税
  • 標準建築単価から計算する:建築年の標準建築単価×専有面積
  • 固定資産税評価額から計算する:購入金額×建物の評価額÷(建物の評価額+土地の評価額)

そのほかにも、相続税評価額などを用いて計算する方法もあります。
しかし、計算が複雑なのであまりおすすめできません。

ステップ2:そのほかの取得費を確認する

建物の購入費用と合算して取得費に計上できる費用を調べます。
取得費として計上できる主なものは、下記のとおりです。

  • 不動産会社に支払う仲介手数料
  • 不動産の名義変更にかかる登記費用
  • 売買契約に貼り付ける印紙代
  • 固定資産税の精算金
  • リフォーム費用など

土地と建物がセットで売られていた場合、各費用は土地と建物の価格の割合に按分します。
「土地+建物」の費用は、金額を土地分の価格と建物分の価格に按分する必要があります。
たとえば、仲介手数料が100万円で土地が400万円、建物が600万円で、按分率が「土地:建物=4:6」の場合
建物分の仲介手数料=100万円×6/10=60万円になります。

ステップ3:償却率を確認する

償却率は、建物の構造によって異なります。

  • 鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造:償却率0.015・法定耐用年数70年
  • 軽量鉄骨造:償却率0.020~0.036・法定耐用年数・28年~51年
  • 木造:償却率0.031・法定耐用年数33年

一般的な木造の一戸建てなら、償却率0.031、法定耐用年数は33年となります。

ステップ4:経過年数の端数を切り上げる

経過年数とは、不動産を購入してから売るまでの所有期間のことです。
6か月以上は1年とし、6か月未満は切り捨てます。
たとえば、経過年数が20年3か月の時、「3か月」の部分は切り捨てて、経過年数は「20年」と計算することになります。

ステップ5:計算式に代入する

ステップ1~4で用意した数字を、減価償却費の計算式に代入し、以下の例をもとに計算してみましょう。

  • マンションの建物部分の取得費:4,000万円
  • 鉄筋コンクリート造(RC造)
  • 購入した日:平成16年2月1日
  • 売却した日:令和4年2月1日

マンションの構造が鉄筋コンクリート造なので、償却率は「0.015」になります。
経過年月は計18年1ヶ月ですが、6ヶ月未満の端数は切り捨てるので、減価償却費の計算では「18年」とします。
建物部分の取得費(4,000万円)×0.9×償却率(0.015)×経過年数(18 ) = 減価償却費(972万円)
原価償却費は972万円になります。

確定申告が必要か否かの判断は?

先述のとおり、土地や建物を売って利益(譲渡所得)が生じると、その利益に対して譲渡所得税がかかります。
反対に、譲渡所得がゼロまたはマイナスの場合は、譲渡所得税は非課税です。
譲渡所得の計算式は、下記のとおりです。
譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用
売却価格とは、不動産売却で得た総収入のことです。
譲渡費用とは、売却の際に支払った費用のことで、仲介手数料や印紙税などが該当します。
売却価格から取得費と譲渡費用を差し引き、譲渡所得が発生するか否かを計算なさってください。

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不動産売却における減価償却費の注意点

不動産売却における減価償却費の注意点

最後に、不動産売却における、減価償却費の注意点について解説します。
注意点1:取得費がわからない場合は損する可能性がある
注意点としてまず挙げられるのが、取得費がわからない場合は損する可能性があることです。
取得費がわからない場合、売却価格の5%を概算取得費として計上します。
実際の取得費が5%を上回っている場合、本来の納税額より多く納めることになります。
建物取得時の売買契約書や領収書は、できる限り探しておきましょう。

注意点2:譲渡損失が生じてもほかの所得と損益通算できない

譲渡損失が生じても、ほかの所得と損益通算できないことも、注意点のひとつです。
土地や建物を売って譲渡損失の金額が生じた場合、その損失をほかの不動産の譲渡所得から控除できます。
しかし、控除しきれない損失を、事業所得や給与所得などのほかの所得と損益通算することはできません。
長期譲渡所得(所有期間が5年を超える不動産の売却)なら、一定の要件を満たせば、ほかの所得と損益通算することが可能です。
控除しきれない損失は、その譲渡の年の翌年以降3年間、繰越控除できます。

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まとめ

減価償却費とは、経年劣化よって減った価値を数字に表したものです。
建物部分は築年数の経過とともに価値が減少するため、売却後の確定申告では減価償却費を計上する必要があります。
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