2023-08-15
農地を相続予定の方は、生産緑地の制度や2022年問題が気になるところでしょう。
そこで今回は、生産緑地となにか2022年問題について、生産緑地の指定を解除する要件と方法、解除するときの注意点を解説します。
明石市で生産緑地の売却を検討中の方は、ぜひ参考になさってください。
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「生産緑地」とは、生産緑地法に基づいて管轄の自治体が指定した生産緑地地区内にある農地や森林のことです。
生産緑地地区に指定される主な基準は、以下のとおりです。
市街化区域とは、都市計画法で定められた市街地として計画的に整備される区域のことです。
つまり、都市部にある農地や山林が生産緑地の対象となります。
農林漁業の継続ができる条件とは、排水や日照などの条件が営農に適していることなどが挙げられます。
生産緑地は、農林漁業の継続が求められ、生産緑地地区内で建築物の新築や改築、宅地造成などをおこなう場合には、市町村長の許可を得なければなりません。
良好な生活環境の確保とは、公害または災害の防止、農林漁業と調和した都市環境の保全等が挙げられます。
生産緑地は、都市部の緑地が急速に住宅地化されることを防ぐために設けられた制度です。
目的は、農地等が住宅地として開発されることによる生活環境の悪化や農業の衰退を防ぐことです。
生産緑地に指定されると、30年間農業を継続する義務がありますが、その代わりに固定資産税などの税制上の優遇措置を受けられます。
生産緑地に指定されると30年間は農業を継続する義務がありますが、ちょうど2022年はその義務が解除される年です。
このことから、不動産市場では「2022年問題」と呼ばれ、話題となりました。
生産緑地の多くは都市部に位置するため、所有者は宅地として転用し、売却することを検討するでしょう。
しかし、多くの土地所有者が生産緑地を売却すると、宅地の供給過剰による土地価格の下落が問題となります。
そこで政府は、2022年問題への対策として生産緑地法を改正し、生産緑地の指定を10年延長できるようになりました。
また、自治体の条例によって面積の基準を300㎡まで引き下げることが可能となり、農地に限定されていた使用用途も緩和され、直売所や農家レストランなどの設置も可能となっています。
これらの改正は、30年間農業を続けてきた事業者にとってはメリットがあるため、引き続き生産緑地として所有し、固定資産税などの優遇措置を享受することを検討する方も多いと考えられます。
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一定の条件の下で、管轄の自治体に適切な申請をおこなえば、生産緑地指定を解除できます。
生産緑地の指定が解除された土地は、一般的な宅地として売却することも可能です。
生産緑地指定の解除が認められる要件と手続き方法は、以下のとおりです。
生産緑地の指定を解除するには、次の3つの条件のいずれかに該当する必要があります。
主たる従事者とは、生産緑地で中心的に農業をおこなう者のことです。
主たる従事者が1年以上の入院が必要な病を患うなど、重度の身体障害または疾病を発症した場合、生産緑地指定を解除することができます。
主たる従事者が亡くなった場合も同様です。
主たる従事者が亡くなると、農業を継続することが困難になるためです。
なお、主たる従事者が2人以上いて、残りの1人が農業を継続できる場合は、緑地生産地の指定は解除されません。
生産緑地の指定から30年が経過している場合は、指定解除が可能となり、一般の宅地に転用することができます。
生産緑地の指定を解除するには、市町村に買取の申出が必要です。
買取申出とは、管轄の自治体に生産緑地の買取を請求することです。
買取申出後は、自治体から買取または買取不可の通知を受け取ります。
買取不可の場合でも、3か月後には生産緑地の指定が解除され、宅地への転用や売却が可能です。
そして、申出から1か月以内に自治体からの買取決定または買取不可の通知が届きます。
買取不可の場合、自治体は農業漁業希望者を斡旋します。
斡旋期間は2か月となり、2か月経っても希望者が見つからなかったときは、生産緑地の指定が解除され、宅地への転用や売却が可能となるのです。
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生産緑地の指定が解除された場合、売却による現金収入の可能性や、制限のない自由な土地利用が可能になるなどのメリットがあります。
ただし、生産緑地の指定を解除する際は、以下の点に注意が必要です。
生産緑地の指定が解除されれば、その土地は宅地に転用することも、制限なしで農業を続けることもできます。
注意点は、生産緑地指定を解除して農業を続ける場合は、固定資産税の軽減措置がなくなる点です。
生産緑地の指定解除後は宅地と同じ税率で課税されることになり、生産緑地と比較すると約10倍の税金がかかります。
急激な増税を緩和する措置は取られますが、それでも5年後には約10倍の固定資産税を支払うことになります。
相続税の納税猶予の特例が適用されている間に土地の生産緑地の指定が解除された場合、猶予されていた相続税に利子税を上乗せして納税しなければなりません。
利子税は相続税の申告期限の翌日から年3.6%です。
たとえば、3,000万円の相続税の納税を10年間猶予していた場合、利子税だけでも約840万円かかります。
生産緑地を自治体が買い取る場合や農業従事者への斡旋が成立した場合は、生産緑地の買い取りは一般的に時価でおこなわれるため、税金の支払いは売却代金でまかなうことができるでしょう。
しかし、買取や斡旋が成立せずに生産緑地の指定解除された場合、税負担が重くのしかかります。
そのため、生産緑地の指定解除をする前に、納税猶予額を見積もることが肝要です。
自治体に買取申立をすれば、時価で自治体または農業従事者が土地を買い取ってくれる可能性があります。
しかし、自治体が生産緑地を買い取る保証はなく、買主が見つからずに売れ残ることも多いです。
その場合、不動産市場に売り出すことになり、売却期間が長引けば、その間は自己資金で前述の税負担を強いられることになります。
場合によっては生産緑地の指定解除をせずに、そのまま土地を売却した方が良いこともあります。
判断に悩む方は、まずは不動産会社に相談し「生産緑地指定を解除したほうが良いのか」あるいは「そのまま土地を売却した方が良いのか」聞いてみましょう。
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「生産緑地」とは、農業の継続が義務付けられた生産緑地地区内にある農地や森林のことです。
生産緑地指定を解除するには、主たる従事者が病気または死亡により営農が困難、または指定から30年経過している必要があります。
指定解除をする際は、固定資産税の軽減措置や相続税の納税猶予の特例が適用外となるのが注意点です。
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