2022-12-23
相続時に有効な遺言書がない場合、遺産分割協議をおこなって財産の分割方法を話し合う必要があります。
もっとも一般的な遺産の分割方法は「現物分割」ですが、財産の種類や状況によっては現物分割が向いていないケースもあるため注意が必要です。
そこで今回は、現物分割のメリットやデメリット、現物分割が難しいケースなどを解説します。
明石市にお住まいで、不動産を相続するご予定のある方はぜひ参考にご覧ください。
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はじめに現物分割とはなにか、現物分割以外にどのような分割方法があるのかを解説します。
現物分割とは、財産の形状や性質を変更することなくそのままの状態で相続することです。
たとえば親が亡くなり、遺産に現金1,000万円と時価1,000万円の土地があったとしましょう。
長男が土地を相続して次男が現金1,000万円を相続したら、この分割方法は現物分割に該当します。
また、土地を複数に分けて(分筆)して各法定相続人が取得するのも現物分割です。
ただし、土地を分筆すると価値が下がるケースもあるため、ほかの分割方法もあわせて検討する必要があります。
財産の分割方法には、現物分割のほか「代償分割」と「換価分割」があります。
代償分割とは、相続人のうち1人が財産を取得して、ほかの相続人に代償金を支払うことによって清算する方法です。
たとえば時価1,000万円の土地があり、兄と弟で代償分割をおこなうとしましょう。
この場合、兄が不動産を取得して弟に500万円の代償金を支払うことで、平等に分割ができます。
一方で換価分割とは、財産を売却して得られたお金を相続人の間で分配する方法です。
たとえば時価3,300万円の土地を子ども3人で換価分割する場合、不動産を売却してそれぞれが1,100万円ずつ受け取ります。
どの分割方法を選ぶかによって受け取る財産が異なるため、相続人同士で揉めないよう十分に話し合うことが大切です。
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続いて、相続した土地や建物を現物分割するメリットとデメリットをご紹介します。
現物分割は、ほかの分割方法にくらべて手続きがシンプルです。
たとえば長男が土地、長女が預貯金、次女が株式を相続した場合、それぞれが受け取る財産の名義を変更するだけで手続きが完了します。
代償分割の場合は代償金を用意する必要があり、換価分割であれば不動産を売却してお金に換えなければなりません。
現物分割は手続きが比較的簡単なので、手続きにかかる時間や手間を省けるというメリットがあります。
代償分割と換価分割の場合は、評価額をもとに遺産分割をおこなうので、不動産の評価がとても重要です。
しかし評価方法には複数の種類があり、どれを選択するかによって評価額が異なるため、評価を巡るトラブルが少なくありません。
話し合いを重ねても意見がまとまらない場合は、遺産分割調停や審判を検討することになります。
その点、現物分割は「長男が実家、次男が現金」などのように誰がどの遺産を相続するか決めるだけで良いため、不動産の評価を巡るトラブルが起きにくいというメリットがあります。
現物分割には、相続人間で不公平になりやすいというデメリットがあります。
たとえば相続人の1人が建物を取得して、ほかの相続人が預貯金や株式を相続したとしましょう。
預貯金や株式に比べて建物の価値が高い場合、ほかの財産を受け取った方が不公平を感じて、トラブルになる可能性があります。
とくに不動産は財産のなかでも高額になりやすく、現物分割で平等に分割するのは困難といえるでしょう。
建物は物理的に分けることができませんが、土地は分筆をおこなうことで比較的平等に分割できます。
そのため、土地の相続時に分筆をご検討する方も多いかと思いますが、すべての土地が分筆できるというわけではありません。
分筆により最低敷地面積よりも小さくなるケースや、境界が確定されていないケースは分筆ができないため注意が必要です。
また地域によっては条例で分筆を禁止しているところもあります。
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財産分割時に一般的な方法として選ばれている現物分割ですが、なかには選択できないケースもあります。
ここでは、現物分割が難しいケースと現物分割に向いているケースの両方を解説します。
以下のようなケースは現物分割に向いていないため、ほかの方法を検討することをおすすめします。
共有物が建物や自動車などの場合は、物理的に分けられないため現物分割ができません。
また、現物分割をすることで財産の価値が著しく減少してしまう場合も、現物分割には向いていないといえます。
たとえば、現物分割をすることで袋地が発生する場合は、袋地になっていない土地との価格差が大きくなってしまいます。
そうなると誰がどの土地を取得するかで揉める原因となるため、現物分割ではなくほかの方法を検討しましょう。
それでは、どのような場合に現物分割がおすすめなのでしょうか。
現物分割に向いているのは、おもに次のようなケースです。
多種多様な遺産がある
預貯金や土地、車など多種多様な遺産がある場合は、現物分割に向いているといえます。
たとえば、遺産として「2,000万円の土地、700万円の車、1,300万円の株式」があり、長男と次男が相続するとしましょう。
この場合、長男が土地を取得して、次男が車と株式を取得すれば、お互い2,000万円分ずつ相続できるため不公平感がありません。
さまざまな財産があり、相続人それぞれがいずれかの財産を相続できる場合は、現物分割を検討すると良いでしょう。
預貯金などで調整できる
遺産のなかに現金や預貯金があり、遺産の価格差を調整できるようであれば、現物分割でも平等に分割することが可能です。
たとえば、遺産として「1,000万円の土地、400万円の株式、1,000万円の預貯金」があり、長男と長女が相続するとします。
この場合、長男が1,000万円の土地と200万円の預貯金を取得し、長女が400万円の株式と800万円の預貯金を相続すれば、お互いの取得分が同じになります。
相続財産が現物分割に適しているのかどうかを見極めるためにも、相続人全員で遺産分割についてしっかり話し合いましょう。
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現物分割は相続においてもっとも一般的な分割方法であり、手続きが簡単というメリットがあります。
一方で、不公平になりやすいなどのデメリットもあるため、ほかの分割方法と比較しながら相続人間で十分に話し合うことが大切です。
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