2022-09-24
高齢化社会の問題のひとつに、親の認知症と不動産売却があります。
親が認知症になり、介護のために同居したり、老人ホームに入るなどで、誰も住まなくなった親の家の売却を検討する方もいるでしょう。
その際に親に代わって不動産売却の手続きをすることは可能なのでしょうか。
親の認知症と不動産売却の問題点や起こりうるトラブル、成年後見制度について解説しますので、明石市内にて認知症の親の不動産売却を検討している方はぜひ確認してみてください。
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一般的に不動産の売買取引では物件の引渡し決済のときに司法書士が立ち会い、手続きが進められます。
立ち会った司法書士により売主と買主のそれぞれの意思が確認されますが、そのときに意思能力に問題ありと判断された場合、その取引は不成立になります。
なぜなら、不動産売買では大きなお金が動き、多くの法律の取り決めのもとでおこなわれ、きちんと理解して取引しないと大きなトラブルに発展することがあるからです。
認知症はさまざまな認知機能が低下する症状です。
不動産売買は複雑な法令への理解や、明確な意思表示が必要で、認知症の方では不動産売買ができないと法律で定められています。
意思表示とは、契約の申込みや承諾、契約の取り消しや遺言まで、一定の法律行為をするための意思を示すことです。
親の不動産売却に当てはめると、売買契約することで親が不動産を「売りたい」という意思表示をし、物件の所有権の引渡しと引き換えに代金を受け取る権利を取得します。
この意思表示ができることを「意思能力」といい、認知症になると意思能力に疑問符がつき、不動産取引ができないのです。
親に代わって委任状を持った子どもが不動産売却するならば問題はありませんが、「認知症」の親の代わりにはなれません。
認知症により意思能力が低下した親からの委任状は認められないからです。
委任状での売却は、正常な判断能力を持っている場合に限られてしまうことを覚えておきましょう。
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親が認知症になったとき、介護の業者委託や老人ホームへ入所することもありますが、それには費用が必要です。
介護費用捻出のために親が所有している不動産を売却することは問題がないように思われます。
しかしながら、勝手に親の不動産を売却すると、親が認知症になる前に生前贈与していたり、遺言状で相続人を指定していたりする場合にトラブルに発展します。
親が認知症になったときに、親が所有している不動産を勝手に売却しない、または勝手に売却されないように、親族でしっかりとコミュニケーションをとっておきましょう。
認知症介護のために広い家や、バリアフリーのマンションなどへの住み替えを検討した場合も、親が認知症になると不動産の取引ができません。
家のバリアフリー対策のためのリフォーム契約についても、認知症になった親では契約できません。
これも多額の費用がかかるので、親の資産を勝手に利用しての物件の購入やリフォームはトラブルの原因になりえます。
また、認知症であることに付け込んで高額なリフォーム契約を親に結ばせる悪徳な業者がいる恐れもあります。
意思能力のない方がした契約は無効になるものの、知らぬ間に工事が完了して代金が支払われていたのでは遅いので、十分に気を付けなくてはなりません。
親に資産があり資金的な問題がなければ良いのですが、そうでなければ介護費用を巡って誰がどうやって負担するのかはトラブルになりがちです。
親が所有する不動産を売却して介護費用に充てることはトラブルにならないと思ってしまいますが、親族の方針の違いにより意見が異なることもあります。
売却する場合は、親族の許可をとっておきましょう。
その場合、介護費用で使用したお金の領収書をとっておき、介護にいくらかかったのかを明確にしておくのも、のちのトラブルを防ぐために重要です。
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親が認知症になってしまうと不動産売却以前にお金を動かせなくなり、買い物すら制限がかかるなど、困った事態になるでしょう。
そうした状況への対策として「成年後見制度」が法律でも認められています。
成年後見人制度とは、認知症もそうですが、知的障害や精神障害など意思能力や判断能力に欠ける方を助ける方を設定する制度です。
通常、本人以外ではできない以下の手続きを代わりにおこなうことができます。
細かく分類していくとこの他にもありますが、成年後見人は「本人の利益になること」ができます。
成年後見人には「任意後見人」と「法定後見人」の2種類があり、認知症になる前なら「任意後見人」、認知症になったあとならば「法定後見人」を利用できます。
任意後見人は親の意思能力がしっかりとしているうちに、将来に備えて支援してくれる方を選ぶ制度です。
元気なうちに公証人役場にて後見人と任意後見人契約を結び、その後、認知症になるなど意思能力がなくなってきたら、家庭裁判所で手続きをします。
法定後見人は親が認知症になってから、家庭裁判所に成年後見人を選んでもらえるよう申し出をします。
家庭裁判所に申し出をできるのは本人または配偶者、親族(四親等以内)、検察官、市区村長などです。
成年後見人の候補者として要望を出せますが、必ずしもその中から選ばれるのではなく、弁護士や司法書士や行政書士などの専門職の士業を務める人が選ばれることもあります。
現在では候補者よりも専門職の方が選ばれるほうが多くなっています。
成年後見人制度を利用するためには以下の費用がかかります。
裁判所への申立費用は必須ですが、医師による鑑定は不要な場合もありますし、成年後見人が管理する財産の金額によって増えることもあります。
また、親族が成年後見人になるのなら、無償というケースもあります。
認知症の親が所有する不動産を売却するとき、どのような流れになるのでしょうか。
まず、成年後見人の申立をし、裁判所による審査を経て、成年後見人が選ばれます。
通常、申立から選ばれるまでは4か月ほどの期間を要します。
その後、成年後見人が不動産会社へ売却依頼し、買主が決まれば契約の締結、引渡しとなり、基本的に通常の不動産売買と流れは変わりません。
異なるのは、売買契約を締結するためには、契約内容について家庭裁判所の許可を得る必要があることです。
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親が認知症になった場合、親本人が所有する不動産の売買契約や、介護しやすいようにリフォームするための契約を締結はできません。
親が所有する不動産を売却しようとした場合、成年後見人制度を利用することで売却が可能になります。
しかしながら、親族の許可もなく話を進めることはトラブルの原因になりかねないので、親族でしっかりと話し合って決めた上で、不動産売却を進めましょう。
明石市内にて不動産売却を検討している方は、株式会社e-homeにお気軽にご相談ください。
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