2022-02-08
不動産売却は、売っておしまいではありません。
売却後に売主は買主に対して、契約内容に適合したものを引き渡す責任があり、それを理解せずに契約してしまうと、引渡し後のトラブルにつながる可能性もあるため、注意が必要です。
そこで今回は、「契約不適合責任」とは何か、また以前施行されていた瑕疵担保責任との違いや注意点についてもご紹介します。
明石市や加古川市、神戸市の垂水区や兵庫区エリアで不動産売却をご検討中の方はぜひ、ご参考にしてください。
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目次
不動産売買における「契約不適合責任」とは、買主との契約において、引き渡す物件の種類や品質、数量について契約に適合しないものである場合に売主が負う責任をいいます。
具体的には、雨漏りがある物件を「雨漏りはしないもの」として売却した際には、契約不適合となり買主は売主に対して責任を追及できるのです。
逆にいうと、売買契約書に「この物件は雨漏りします」と記載があれば、想定している箇所からの雨漏りによる責任を問われる可能性は低くなります。
そこで重要なポイントとなるのは、「契約内容と異なる箇所があるかどうか」です。
しっかりと物件の状態を確認した上で、契約の条件を記載しておくことで、引渡し後のトラブルを軽減できるでしょう。
契約不適合責任により、買主が売主に対して追及できる権利とはどのようなものがあるのでしょうか。
買主が追及できる権利は以下の5つです。
追完請求
購入した不動産が契約内容と異なるときに、補修や不足している数量を適合するように求めることができる権利です。
追完請求には「目的物の補修」「代替物の引渡し」「不足分の引渡し」の3つの方法が認められています。
代金減額請求
売主に対して追完請求をしたにもかかわらず実行されないケースや、修復が不可能なときに売買代金の減額が認められる権利です。
催告解除
催告解除は、追完請求をしたにもかかわらず売主が応じないときには、買主は催告(追完請求に応じないなら解除する旨を要求すること)して契約解除をすることができます。
無催告解除
無催告解除は契約の目的が達成できない場合や、履行が不可能であると考えられる際に、売主側に催告することなく契約解除できる権利です。
損害賠償
売主が不具合箇所を故意に隠した場合や、売主の過失で生じた損害に限り、買主は売主に対して損害賠償請求をすることが認められています。
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契約不適合責任は、2020年4月の民法改正により新たに施行された法律です。
それまで適用されていた「瑕疵担保責任」はどのような違いがあり、何が変わったのか比較してみましょう。
法的性質
瑕疵担保責任においては法定責任説と契約責任説、2つの見解で対立があり、わかりづらいものでした。
法定責任説では、特定物(売却する不動産)を引き渡す義務は負うものの、瑕疵のない不動産を引き渡す義務までは追及されていませんでした。
そうなると瑕疵がある不動産を引き渡した際に、買主にとって不利益になるため、瑕疵担保責任という特別な責任をつくり、「損害賠償請求」と「解除権」を付与していました。
ただし法定責任説では一般の債務不履行において求められる「追完請求権」や「代金減額請求権」は含まれていません。
そこで債務不履行責任としてとらえるべく契約責任として整理されたのです。
売主は契約の内容に適合したものを引き渡す義務を負い、目的物に瑕疵がある場合には債務不履行となり、買主は前項の5つの権利を売主に対して追及できます。
目的物
特定物とは、不動産や美術品、中古車など取引きの際に個性に着目して行われる目的物を指します。
対して不特定物とはその逆で、個性を問わず種類・数量・品質等に着目して取引きされる物で、テレビやエアコン、新車など取り換えがきくものです。
契約不適合責任により、売主は特定物・不特定物を問わず、契約内容に適合したものを引き渡す責任を負います。
責任要件
隠れた瑕疵とは、買主が通常の注意を払ったにもかかわらず発見できなかった瑕疵を指します。
しかしながら実際には、隠れていたどうかは立証が難しいため、今回の改正では、「契約書に書かれていたかどうか」に変わったことから、明確な根拠を提示できるようになりました。
買主が請求できる権利
これまでは契約解除と損害賠償請求の2つに限定されていましたが、改正により前項で述べた5つの請求がおこなえるようになりました。
損害賠償責任
売主が故意に不具合や過失を生じた損害でなければ、買主は損害賠償請求をすることはできません。
損害賠償請求の範囲
信頼利益とは、契約不成立や無効になった際に、それを信じたことによって被った損害をいいます。
対して履行利益とは、契約が履行された際に債権者が得られたはずの利益を失った場合の損害を指します。
このように、瑕疵担保責任で複雑かつ曖昧だった内容をすっきりとわかりやすい概念に整備されたのが、契約不適合責任です。
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不動産売却において、引渡し後のトラブルを防ぐためにも、以下の注意点についてチェックしておきましょう。
新民法においては、「買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知」とあります。
そのため、通知できる期間を設定しない限り、長期間に渡り売主は契約不適合責任を負うことになるため注意が必要です。
通知期間は瑕疵担保責任と同様に3か月とすることが基本となるでしょう。
契約内容と適合したものを引き渡すためには、免責次項の洗い出しはとても重要です。
たとえば築年数とともに劣化しやすい住宅設備の故障や不具合、耐震基準を満たしていない物件の契約など、トラブルが起こりそうな要件については個々に書き出し、免責を記載しておきます。
ただし免責は、事前に買主に対して説明や告知をすることで有効になりますので、売主が知っている不具合については必ず買主へ伝えましょう。
引渡し後のトラブルを避けるためには、目的物の瑕疵をしっかりと把握することも重要です。
そのために有効な手段が「インスペクション」です。
インスペクションは、専門家による建物状況調査のことで、売却不動産の柱や基礎、外壁など建物の構造上の安全性などについて目視や計測等により調査します。
物件の価値を算定する際にも有用な上、構造的に弱い部分や補修した方が良い箇所などが明確になり、どこを直せば良いのかが明確になります。
また瑕疵がないことがわかれば、専門家のお墨付き物件として市場価値も上がり、希望の売却価格で売れたり、売却期間が短くなる効果も期待できるでしょう。
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